中学生にスマホ(スマートフォン)を持たせるときに必要なのが、「親としての制限」を意味するペアレンタルコントロールを施すことです。中でも主に有害なWebサイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」は必要不可欠な設定といえます。今回はフィルタリングの概要やその設定方法について解説します。
フィルタリングとは
フィルタリングとはもともと選別や濾過(ろか)することを表す言葉です。
そしてスマホ利用に関連したフィルタリングといえば、「有害または好ましくないWebサイトを選別してアクセスを制限するサービス」(Webフィルタリング)を指すのが一般的です。
Webフィルタリングには、ブロックするサイトをあらかじめリスト化しておいてアクセスしないようにするブラックリスト方式と、逆に閲覧を許可するサイトをリスト化してそれ以外のサイトには一切アクセスしないようにするホワイトリスト方式があります。
また、現在はサイトを「アダルト」「犯罪・暴力」「コミュニケーション」などのカテゴリーに分類したデータベースを用意し、利用者の年齢や家庭の方針などに合わせてユーザーがカテゴリーを選んで設定できる方式のフィルタリングが主流です。
さらに、Webフィルタリング以外には、好ましくないアプリを選別して使わせないようにするアプリのフィルタリングなども利用できます。
中学生のスマホにはフィルタリングが必要
「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」という法律をご存知でしょうか。この法律が改正され、平成30年2月1日からは、18歳未満の青少年がスマートフォンや携帯電話の契約・機種変更をする際に、原則として携帯電話事業者や販売代理店が店頭などでフィルタリングの設定やインストールを行うことが義務化されました。
その背景には近年、スマホやインターネットの普及によって、青少年がネット犯罪に巻き込まれるケースが目立つようになったことがあります。出会い系サイトやコミュニティサイトに起因する犯罪の罪種を見ると、児童買春、児童ポルノ、青少年保護育成条例違反、児童福祉法違反といった未成年者が被害者となっているものが大半を占めています。SNSもコミュニティサイトの一種です。
スマホやネットによる被害は、犯罪に巻き込まれないよう気を付けていても防ぎきれない場合があります。有害サイトにアクセスさせようとする方法は年々巧妙化しており、知らず知らずのうちにクリックしてしまうこともあるかもしれません。そこで設定しておきたいのがフィルタリングです。フィルタリングサービスやフィルタリングソフトを正しく使えば、有害サイトへのアクセスを防ぐことができるといえます。
中学生にスマホを与える際には、保護者が子供と一緒に話し合いながらスマホの使い方についてルールを決め、フィルタリングについても説明しておきましょう。
フィルタリングの設定方法
ここからは、フィルタリングの具体的な設定方法について説明します。
iPhoneのフィルタリング設定方法
iPhoneでは、「設定」から「スクリーンタイム」を開き、「コンテンツとプライバシーの制限」をオンにするとフィルタリングの設定ができます。Webサイトの制限をするには、さらに「コンテンツ制限」から「Webコンテンツ」に進みます。
その上で、「成人向けWebサイトを制限」を選択すると、ブラウザのSafariでインターネットを利用した際、成人向けアダルトサイトなどへのアクセスが自動制限されます。また、「常に許可」するサイトと「常に許可しない」サイトを手動で追加することもできます。
あるいは、「許可されたWebサイトのみ」を選択すると、許可したサイトだけにアクセスできるホワイトリスト方式のフィルタリングができます。Webサイトは手動で追加することができます。
なお、iOSの「ファミリー共有」という機能を使うと、保護者が自分のiPhoneで、子供のiPhoneの「スクリーンタイム」を設定できます。
Androidのフィルタリング設定方法
標準的なブラウザであるChromeでセーフサーチという機能が利用できます。
まず「検索の設定」ページに移動し、「セーフサーチ フィルタ」について「不適切な検索結果を非表示にする」を選択します。下部の「保存」をクリックすればセーフサーチ フィルタが有効になります。
セーフサーチを有効にすると、Googleの検索結果から露骨な性表現を含むコンテンツを除外できます。
また、Androidの場合も「ファミリーリンク」というGoogleのアプリを利用すると、子供のGoogleアカウントのセーフサーチがデフォルトでオンになります。
フィルタリングアプリ
iPhoneでもAndroid端末でも、上記のようなOSでの設定以外に、サードパーティが提供するフィルタリングアプリを利用できます。
フィルタリングアプリの多くは有料です。しかしその分、機能も充実していて、年齢別の推奨設定が用意されていたり、アプリのアンインストール防止機能が備わっていたりと、使いやすいものになっています。
通信事業者が提供するフィルタリングサービス
3大キャリアはそれぞれで販売する端末向けのフィルタリングアプリを無料提供しており、ショップで設定してもらえるのも特徴です。また、Webフィルタリングとしての一般的な機能のほかに、それぞれ各種ペアレンタルコントロール機能が搭載されています。
格安SIM各社でもフィルタリングサービスは利用可能です。たとえばトーンモバイルには「TONEファミリー」というサービスがあり、アプリや端末の利用制限、居場所確認などの機能のほかに、「あんしんインターネットオプション」という機能があり、これがWebフィルタリングにあたります。年齢別の簡単設定、フィルタリングから除外したいURLを20件まで登録できるホワイトリスト機能、アクセス禁止ページにアクセスしようとした回数、総利用時間、アクセス先ジャンルの確認などが可能です。
中学生に持たせるスマホには、フィルタリングが必須だといえます。子供の安全を守るためにも、適切に設定しましょう。