中学生のスマホルールってどう作る?

中学生のスマホルールってどう作る?

中学生からスマホ(スマートフォン)デビューする子供はたくさんいます。
保護者として気になるのは、中学生にスマホを持たせるとき、ルールを決めたほうがいいのか、決めるとしたらどんなルールが望ましいのかということではないでしょうか。小学生の時点でスマホを既に使っていたとしても、中学生になるとより自由に使いたがるかもしれません。
そこで今回は、中学生のためのスマホルールの作り方について解説します。なぜルールが必要なのか、具体的にどんなルールを決めるべきなのかといったことを考えます。

中学生のスマホ利用にルールは必須?

中学生のスマホ利用にはメリットがある一方で、ある程度リスクが伴うことも想定しておかなければなりません、

メリットとして挙げられるのは、子供との緊急の連絡手段を確保でき、居場所確認もできるようになること、ITに関する理解力や使いこなす能力、コミュニケーション能力、情報収集能力などの向上が期待できることなどです。

一方、中学生がスマホを使って日常的にインターネットの各種サービスを利用するようになると、ネット上で何らかのトラブルに巻き込まれる可能性が生じます。また、スマホに依存して手放せなくなってしまうと、実生活にも悪影響が出てくるかもしれません。

ルール作りは、こうしたリスクを回避する、あるいは軽減するために必要です。「スマホはしっかりとルールやマナーを守って使う」ということを子供が中学生のときから意識しておけば、その後のスマホやネットとの付き合い方も変わってくるでしょう。

中学生のスマホ利用に伴うリスク

中学生がスマホを利用することにはどのようなリスクが伴うのか、いくつか具体的に挙げてみましょう。

まず心配なのが、いじめや犯罪の被害者・加害者になるリスク。友達や他人とつながれるコミュニケーションアプリやSNSは便利で楽しいサービスですが、オンライン上でのいじめや嫌がらせの被害に遭う、さらには意識せずに加害者になってしまう危険性も潜んでいます。中学生を騙そうとする者 もいて、犯罪に巻き込まれるケースもあります。

スマホを使ったSNSやゲームに多くの時間を割きすぎてしまうスマホ依存も社会的な問題になっています。そのことで成績が落ちる、保護者や家族とのコミュニケーションの機会が減る、保護者に黙って課金をする、常にスマホが手元にないと不安になり日常生活に支障をきたすようになるといった状態に陥る子供もいます。歩きスマホや視力の低下、夜間にスマホを使うことによる睡眠不足などもこの問題とリンクしています。

スマホには多くの機能があり、さまざまなアプリやサービスが新しく生まれ続けています。中学生にとって、自分のスマホを手に入れるというのは新しい世界が目の前に広がるような感覚で、それだけに大きな影響を受けるものです。それが悪い影響とならないよう、保護者が見守っていく必要があるといえるでしょう。

中学生のスマホルールを作るときのポイント

中学生のためのスマホルールを作るときは、まず保護者としての基本方針を明確化することが重要です。スマホの利用目的は何なのかをはっきりと決め、スマホを利用する時間、使うアプリなどもそれに沿って決めていきます。

保護者が複数いる場合は、基本方針を保護者間で統一させておく必要もあります。ある程度子供の自主性に任せるのか、なるべく細かくルールを決めてその範囲内で使わせるようにするのかといった方針や認識を保護者間で一致させておきましょう。これがずれていると、子供はどちらに従えばいいのか混乱してしまいますし、自由に使わせてもらえるほうに甘えるという傾向になるでしょう。

スマホを渡す前に、スマホの使い方やルールについて子供と十分に話し合う時間を持つことも必須です。保護者としての方針を伝え、どのようなリスクを回避させたいと考えているのかを話して、子供自身の意見や要望にも耳を傾けましょう。さらに、ごく基本的なこと、たとえばスマホを使って違法行為をしてはならない、ネットで友達や知らない人とケンカをしない、誹謗中傷や差別的なことを書き込まない、スマホを他人に貸さない、などもひとつひとつ教えていくことが大切です。

ルールは保護者がひな形を作って、細部はすべて子供と一緒に話し合って決めていくというやり方を採用するのもいいでしょう。また、ルールを守らなかった場合にどうするかも決めておきます。ルールを破ったら一定期間スマホを預かるなど、何らかのペナルティを設定して、子供がきちんとルールを守るよう促します。

そして今後、スマホを使っていて何か困ったことや新しい問題が生じたときには必ず相談や話し合いをするように約束しておきます。そうすれば、スマホの使い方について「一緒に考える」ことを習慣づけられるはずです。

こうした態度でルール作りに臨めば、スマホの使い方について、保護者と子供が対話しやすい雰囲気を作り上げることができるでしょう。

中学生のスマホルールの作り方

ここからは、具体的にどんなスマホルールを作っていくのかという項目について説明していきます。ルール作りの参考にしてみてください。

スマホを利用してよい時間帯

スマホの利用時間帯を制限するのは、スマホ依存を防ぐのに役立つルールです。24時間いつでもスマホを使えるという状況を許してしまうと、つい夜遅くまでスマホをいじってしまい、勉強の妨げになったり、睡眠不足を招いたりしてしまうおそれがあります。

たとえば利用時間は22時までとし、以降の時間は端末をリビングで充電する決まりにします。そうすれば、寝るときには自分の部屋にスマホを持ち込めないルールになります。あるいは、勉強中は保護者がスマホを預かるというルールも考えられます。

単純な方法ですが、毎日決まった時間になったら物理的にスマホを使えなくするということが、ルールをきちんと守ろうという自覚にもつながります。

スマホを利用してよい場所

スマホの利用場所も決めておきましょう。まず、絶対にNGとすべきなのは歩きスマホです。自転車に乗りながらのスマホ利用も同じです。これらは危険なので、してはいけないこととしてしっかり約束してください。

家の中ではリビングと自分の部屋でのみ使ってよい、といったルールにするのも有効です。中には子供がスマホを使えるのはリビング限定で、保護者がいるときだけとする家庭もあるかもしれません。

ただ、時間帯も場所も同じですが、子供に厳しい制限を設けるなら、保護者もそれに準じたルールを守るようにするべきでしょう。子供はリビングでしかスマホを使えないのに、親はお風呂にまでスマホを持ち込んでいる、というのでは示しがつきません。ある程度、子供と同じようにスマホの利用を控えるという態度で、お互いにルールを守るようにしましょう。

食事中のスマホ利用の禁止

食事中も基本的にスマホを使うのは禁止とするべきでしょう。このことも家族全員で守るようにしてください。

実際に多くの子供が食事中のスマホはダメだと教えられていますが、反面、保護者は使っているというケースも少なくないようです。そうした保護者の態度に不満を持つ子供が多いようです。保護者が食事中にスマホを使っていると、子供は自分の話を聞いてもらえていないと感じることもあります。

食事中は家族の楽しい会話の場でもあるはずです。お互いにそのことをしっかりと認識して、スマホ禁止のルールを守りましょう。

アプリを無断でダウンロードしない

子供が新しいアプリをダウンロードしてインストールしたいときは、必ず保護者に相談するということもルール化しておくと安心です。無断でのダウンロードは禁止、どうしても使いたいアプリがあれば事前に必ず承諾を得るよう徹底するといった方法です。

子供がどのようなアプリを使っているのかがわからないと、保護者は適切な管理をしづらいものです。子供がなぜそのアプリを使いたいのかもヒアリングし、アプリの安全性などを確認してからダウンロードの可否を判断してみましょう。

成績が落ちた場合の対応

成績が落ちるのは必ずしもスマホを使っていることだけが原因とは限りません。しかし、明らかにスマホに夢中になっていて成績が落ちたと考えられる場合には、スマホを使う時間を減らすといった対応をしてもよいでしょう。再び成績が上がれば利用時間をもとに戻すというルールにすれば、勉強へのモチベーションもアップするはずです。

ただし、成績が落ちたからといって事前予告なくいきなりスマホを取り上げるのは不満を生じさせます。ルールとして「スマホが原因で成績が落ちた場合、スマホを預かる」ということを決めておいて、子供に事前に納得させておくことが大切です。

写真の取り扱い

写真をインターネットに公開することにはリスクが伴います。自分や家族の顔写真をアップすれば個人を特定される可能性が高くなります。その写真を何か別のことに悪用されるおそれもあります。他人の顔がたまたま写り込んでいたといった場合も、肖像権の侵害となる可能性があるので要注意です。顔や人物が特定できる写真は不用意に投稿しないよう、子供に教えておきましょう。同様に、自宅や学校、近所など、場所が特定されるような写真も投稿したり、誰かに送ったりしないよう丁寧に指導します。

スマホで撮影した写真には、写真データに撮影日時や位置情報が記録されています。Twitter、Facebook、Instagram、LINEなどでは、位置情報が埋め込まれた写真を投稿すると自動的にその情報が削除される仕組みになっています。それでも、すべてのサービスがそうした仕様になっているとは限りません。子供に持たせるスマホは、最初からカメラアプリの設定で、位置情報はオフにしておくことをおすすめします。

さらに、最近は子供たちの「自画撮り被害」が増えています。SNSなどで知り合った相手にだまされたり脅されたりして、子供がみずから裸や下着姿の写真・動画を送ってしまうという被害です。たとえ信用している相手であっても、ほかの人に見られて困るような写真や動画は送らないことを約束させてください。これは女子だけでなく、男子も注意が必要です。

個人情報の取り扱い

そもそも個人情報をインターネット上に公開することは危険です。友達にしか見られないから大丈夫だと思っても、一度インターネットで本名や住所、学校名、電話番号、メールアドレスなどを不用意に書き込めば、どこでどう悪用されるかわかりません。そうした情報はオンラインで教えないようしっかりと指導しましょう。

また、個人情報関連では、フィッシング詐欺にも気をつけなければなりません。SMS(ショートメッセージサービス)やメールで実在する企業になりすましたメッセージを送りつけ、パスワードなどを不正に取得しようとするのがフィッシング詐欺です。子供がこのようなワナに引っ掛からないよう、不審なメッセージが来たらすぐに保護者に見せるよう教えてください。

SNSの利用範囲

SNSは気軽に「つぶやき」や写真を投稿でき、多数の人と簡単につながれるため、トラブルに巻き込まれる可能性を否定できません。そのため、中学生には一切SNSを利用させないというルールにすることも考えられます。

しかし、いまでは中学生の大半がSNSを利用しているという現実もあります。10代の利用率が高いのはLINE、Twitter、Instagram、TikTokなどです。また、多くのSNSが13歳以上であればアカウントを作れるようになっています。

周囲の友達同士がこれらのSNSをよく利用していて、ある種ローカルなコミュニティができていると、その輪に入れないことで疎外感を覚える子供もいます。子供にとって友達とのつながりを絶たれることは、保護者が思うよりずっと深刻な問題だということもあります。

そのため、利用するSNSを厳選し、使い方に関する注意点を細かく伝えることで利用をOKにする保護者も多くいます。考えようによっては、SNSの利用を通じて、子供のITに関する理解力や使いこなす能力 を育てていくこともできるはずです。子供の希望や意見にも耳を傾け、一緒に話し合って、SNSに関する「うちのルール」を決めましょう。

連絡先の交換やコミュニケーションの相手の制限

連絡先の交換に関してもルールが必要です。中学生であれば、電話番号やLINEのID、メールアドレスなどは、「直接会える友達」に限定して教えるようにするのがよいでしょう。SNSで知り合った相手や友達の友達などとは、基本的に連絡先の交換はしないよう指導してください。もしもどうしても連絡先を教えたい相手がいるときは、必ず保護者に相談するようにします。

それでも、SNSでは知らない相手とコミュニケーションが始まることがあります。顔見知りではなくても、同じ中学生同士らしいとわかって徐々に親しくなっていった、ということもあるかもしれません。何度かメッセージのやりとりをするような相手ができたら、やはり保護者に報告するルールにしておきましょう。オンラインでは、相手についての正確な情報は得られません。少しでも疑わしい点があれば、保護者が注意を促す必要があります。

守るべきスマホマナーの確認

ネット上でのさまざまなマナーについても確認しておきましょう。たとえば以下のようなマナーが挙げられます。

  • ネット上に誰かの悪口や悪口と思われるようなことを書かない(うざい、きもいなど)
  • 芸能人や有名人に対しても誹謗中傷につながるような書き込みをしない
  • ウソや他人をだまそうとするような情報を発信しない(リツイートも同じ)
  • ふざけてバカなことをした写真や動画を撮ってアップしない

スマホそのものの扱いに関するマナーもあります。前述した歩きスマホもそうですが、ほかにも、以下のようなものがあります。

  • 電車やバスに乗ったときや、図書館などではマナーモードにする
  • 同じく公共の場所などでの通話は控える
  • ショップやコンビニなどで許可なく商品を撮影しない

最初からすべて具体例をリストアップするのは難しいかもしれません。日常生活の中でマナー違反に気づいたら、その都度きちんと注意することも大切です。

スマホの機能で対応できるかも? 不要なルールがないか確認しよう

子供と一緒に確認しながらルールを決めて子供に守らせるのとは別に、スマホの機能やキャリアのサービスで対応できる制限や対策もあります。

例えば、「フィルタリング」は違法あるいは有害なサイトにアクセスできなくするためのサービスです。中学生にスマホを持たせる際には、法律上でもフィルタリングの設定が求められています。「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が該当し、携帯電話事業者は使用者が青少年である場合、原則としてフィルタリングを提供する義務があると定めています。 フィルタリングの解除には、保護者の同意が必要で、子供が勝手に解除できない仕組みになっています。

フィルタリング以外にも、保護者が子供のスマホの利用を制限できるような機能が用意されています。こうした制限・管理機能のことは「ペアレンタルコントロール」と呼ばれます。iPhone、Androidスマホのいずれでも、OSの機能やアプリを使って概ね以下のような制限をすることが可能です。

  • アプリごとの利用時間を制限
  • スマホ自体の使用時間や使用時間帯を制限
  • ゲーム内やアプリ内の課金を制限・禁止

ペアレンタルコントロールを施して、「制限付きのスマホ」を使うことを条件にスマホを持たせることもできます。たとえばスマホの使用時間を子供と決めて、利用時間の制限を設定しておけば、スマホを使わせないための「夜間はスマホをリビングに置いておく」といったルールは必要なくなるでしょう。

ペアレンタルコントロールは、子供に持たせるスマホに制限を加えることで、ルールにある程度の強制力を持たせられます。子供の希望や考えも尊重しつつ、保護者として上手に利用しましょう。

多くの保護者が、中学生のスマホ利用にはルールが必要だと考えています。子供と一緒にルールを決めることは、子供自身にとってもスマホとの付き合い方を考えるための重要な体験となるでしょう。この記事を参考に、中学生のためのスマホルールを作ってみてはいかがでしょうか。