中学生の子供に持たせるスマホの選び方

中学生の子供に持たせるスマホの選び方

中学生になると子供のスマホ(スマートフォン)所有率は一気に高くなります。しかし、中学生にスマホを与えることで、子供が犯罪に巻き込まれるなど危険な目に遭うのではないかと不安を感じる保護者の方もいらっしゃいます。中学生の子供に初めてスマホを持たせるときには何に注意すればいいのか、どのようにルールを決めるべきなのか、何を基準にスマホを選ぶのかなど、中学生の子供を持つ保護者にとって気になるポイントについて解説していきます。

どのくらいの中学生がスマホを持っているの?

今どきの中学生のスマホ所有率はどれくらいなのでしょうか?

内閣府の「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、インターネットを利用している中学生のうち、「自分専用のスマートフォンを使用している」と答えた中学生は81.8%です。ネットを利用している中学生に限った数字とはいえ、8割以上というのは相当に高い割合です。

ちなみに同じ調査で、「自分専用のスマートフォンを持っている」と答えた高校生は98.6%です。高校生になると、インターネットを利用するほとんどの子供がスマホを持つようになると考えてよさそうです。

中学生はスマホを何に使っている?

同調査には中学生がスマホを使って、インターネットでどんなサービスを利用しているのかという調査結果も公開されています。

それによれば中学生の場合、最も多いのは「動画視聴(80.5%)」、次が「コミュニケーション(80.3%)」となっています。さらに、「ゲーム(70.6%)」「音楽視聴(66.2%)」「情報検索(58.6%)」「勉強・学習・知育アプリやサービス(30.1%)」と続きます。

動画視聴はYouTubeがメインで、最近ではTikTokなども見られているようです。コミュニケーションはメール、LINEのコミュニケーションアプリ、TwitterなどのSNSが該当します。

中学生にスマホを持たせるメリット

動画やコミュニケーション、ゲームを楽しむためにスマホが欲しいと考える中学生が多い一方で、保護者の立場で考えたとき、中学生にスマホを持たせるメリットというのはあるのでしょうか。

まず挙げられるメリットは、GPSによる位置情報機能を使って子供の居場所を把握できるようになることです。また、電話・通話やメール、LINEなどを使っていつでも連絡が取れます。部活や塾で子供の帰りが遅くなるとき、あるいは友達同士でどこかに出かけているようなとき、スマホがあるのとないのとでは安心感が大きく違ってきます。最近では新型コロナウイルス感染症の拡大を理由とした、子供が今どこにいるのかを確認したいという需要も高くなっています。

緊急時の連絡手段としてもスマホは役立ちます。地震などの災害時には家族間で連絡を取り合うための重要なツールとなるでしょう。緊急地震速報や津波警報、避難場所の指示などの情報が子供のスマホに届くのもポイントです。

スマホを勉強に役立てることもできます。調べものに使えるのに加えて、勉強アプリを活用している中学生も増えています。勉強に苦手意識があっても、スマホを使うのなら勉強しやすいと感じる子供もいます。勉強アプリには学習した履歴を残せる、電車の待ち時間や空き時間を利用しやすい、SNS機能がついていて友達と一緒に勉強できるといった特徴があります。

 

中学生にスマホを持たせるときの注意点

中学生にスマホを持たせるときは、メリットだけではなく注意点にも目を向けておくべきです。スマホ選びの前に、以下の点について考慮しておきましょう。

通信料がかさむ

3大キャリアは、契約するプランにもよりますが他と比べて基本利用料や通信料が割高であることが多く、中学3年間だけでも相当な金額になってしまいます。モバイル通信で動画を視聴していればいわゆるギガ不足にも陥るでしょう。また、スマートフォンの端末価格も7万~10万円超えのものがめずらしくありません。

これらの費用は、格安SIMや格安スマホを選ぶことで大幅に抑えられます。たとえば、「トーンモバイル」は、データ容量無制限の定額で利用できる格安スマホです。動画視聴とアプリダウンロード以外なら、どれだけ通信量が多くてもギガが減ることなく基本プラン月額1,000円で使い続けられます。スマートフォンの端末価格も2020年モデルが19,800円と非常に安価です。

犯罪被害に遭う可能性

スマホを使ってSNSや掲示板を利用したり、ゲームをしたりしていると見知らぬ人間と知り合う機会が増えていきます。動画視聴でもコメント欄に書き込むなどすれば、顔の見えない人とのコミュニケーションが始まります。それらがすべて悪いわけではありませんが、相手に悪意があった場合は犯罪被害に巻き込まれる危険性が生じます。また、SNSに投稿した写真などから個人が特定され、ストーカー被害などに遭うケースなども考えられます。

とくに気をつけたいのは児童買春や児童ポルノにつながる性被害です。中でもここ数年、子供が騙されたり脅されたりして自分の裸の画像を送信させられる自画撮り被害が増えています。写真や動画を送って一度ネット上で公開されるとコピーが拡散されてしまい、それらをすべて削除することはほぼ不可能だといえます。男子も例外というわけではなく、被害を受けています。

犯罪の加害者になる可能性

子供自身が意図せず加害者になるケースもあります。SNSで誤った情報をリツイートしてしまったり、誹謗中傷コメントを発してしまったり、著作権違反に当たる画像や動画をアップしてしまったりする可能性は常に考えておくべきです。注目を浴びたくて悪ふざけや冗談のつもりで投稿した写真や動画が犯罪行為に当たるものだった、という事例はニュースでもときどき見かけます。

お小遣い欲しさにフリマアプリなどを使って子供が詐欺行為を働いてしまうケース、相手を騙すつもりはなくても個人間取引でのやりとりで不備があってトラブルに発展してしまうケースもあります。子供がみずから、いわゆる援助交際やパパ活の相手を募集すれば、これも犯罪行為となる可能性があります。

SNSいじめのリスク

SNSやLINEなどのコミュニケーションアプリ、掲示板などを通じて、クラスの誰かの悪口を書き込んだり、仲間はずれをしたりといったことが起きやすいことも問題視されています。とくに仲のよい友達同士が集まってメッセージを送り合うグループチャットなどでは、ちょっとした話の流れやある種の同調圧力から誰かの悪口などが始まり、いじめにまで発展することがあります。子供がいじめに加担してしまうことも、逆にいじめの対象になってしまうリスクも考えておくべきです。

あるいは、誰か気に入らない相手がいるために、他人なりすまして、ネット上で特定の子供の悪口やウソの書き込みをしてしまうようなケースもあります。なりすましも誰かを陥れるような書き込みも違反行為です。書き込んだ本人が誰なのかが判明したときには大きなペナルティーを受ける可能性もあるでしょう。

スマホに依存する

スマホを使って動画やゲームを楽しみ、コミュニケーションを重ねているうち、徐々にスマホに対して依存傾向を示すようになる子供もいます。食事中や就寝前のベッドの中でもスマホを見てしまうといった状態が続くと、スマホが気になって勉強時間が削られ、家庭内コミュニケーションが減り、やがて健康状態にも支障が生じるようにもなります。

また、多くのスマホゲームにはアイテムを手に入れたりゲームを有利に進めたりするための課金システムが組み込まれています。一度保護者に頼んで課金をしたこともあるような子供がゲームに夢中になり、クレジットカード情報の履歴などをもとにさらに課金を重ねると、思わぬ高額請求が届いてしまうこともあります。

これらの問題を防ぐには保護者がスマホやアプリの使用を制限し、子供のスマホの利用状況をチェックして管理するなどの対策が必要です。

歩きスマホや自転車でのながらスマホ

スマホ依存とも関連しますが、歩行中や自転車に乗っているときでもスマホから目が離せないようになると、事故につながるおそれも出てきます。歩きスマホも自転車スマホも、子供自身が怪我をする場合も、誰かに怪我を負わせる可能性もあります。

最近は自転車用のスマホホルダーも売られていますが、自転車運転中のスマホ操作は道路交通法違反となり、違反した場合は5万円以下の罰金が科せられることがあります。また、東京都では東京都道路交通規則第8条により、自転車運転中に携帯電話用装置(スマホも該当します)を保持して通話したり、画面を注視したりすることも禁じています。

中学生にスマホを持たせるリスクへの対策

リスクに対応するための方法についても整理しておきます。以下を参考に対策をとって、子供の安全を守りましょう。

フィルタリング機能を使う

フィルタリング機能とは、主に有害なサイトや情報を判別してアクセス・閲覧をブロックしたり、年齢制限のあるアプリのインストールを制限したりする機能を指します。

フィルタリングはスマホのOSが提供しているサービス(Androidなら「ファミリーリンク」、iOSなら「ファミリー共有」と「スクリーンタイム」など)を使って設定・実行できます。また、3大キャリアや格安SIM・格安スマホを提供する通信会社でも独自のフィルタリングサービスを提供しています。

前出のトーンモバイル端末では、「あんしんインターネット」というブラウザアプリに、有害なウェブサイトの閲覧を制限するWebフィルタリング機能が備わっています。小学生・中学生・高校生のモードを選択するだけでアクセスできるサイトが自動的に決まり、保護者の判断によって個別にアクセスを許可することもできます。

アプリの利用時間やインストールを制限する

フィルタリングサービスにも含まれる機能ですが、特定のアプリの利用時間、あるいはインストール自体を制限することもできます。これもOSやキャリアが提供しているサービスで設定可能です。

トーンモバイル端末では「TONEファミリー」というサービスを利用してアプリ制限ができます。利用時間制限は子供のスマホにインストールされているアプリ一覧から対象のアプリを選び、時間帯制限か1日の合計利用時間のどちらか希望の時間を入力するという簡単なものです。インストールの制限も可能です。また逆に、子供が自分のスマホでアプリをインストールし、保護者にリクエストを送って使用許可をもらうこともできます。

端末の利用時間を制限する

スマホ本体=端末自体の利用時間を制限することもできます。これもOSやキャリアが提供しているサービス・アプリで管理できます。

トーンモバイル端末でも端末自体の利用時間を設定できます。時間帯と曜日を指定すると、その間だけ子供のスマホにロックがかかるようになります。加えて、発信可能な通話先を制限して設定することもできます。

歩きスマホ対策機能を使う

歩きスマホを防止するための機能は一部のアプリで使えます。

トーンモバイル端末では、歩きスマホの警告を行うよう設定すると、子供が歩きスマホをしていると画面に警告が表示されるようになります。また、歩きスマホを検知して保護者のスマホにプッシュ通知が送られる機能も利用できます。

自画撮り被害防止機能を使う

トーンモバイルのスマホは、自画撮り被害防止のための独自機能を備えています。

「TONEカメラ」というカメラアプリにAIフィルター機能が搭載されていて、子供がスマホで自画撮りをする際、裸やそれに近い服装の画像・動画であると判断されると、保存させません。同時に不適切な写真・動画が撮影されると保護者に撮影ログが通知されます。

中学生のスマホ利用ルールではどのようなことを決めればいい?

上記のようなリスク対策やスマホ・アプリなどの制限を行うときは、事前にスマホの利用ルールを決めておきましょう。

ルール作りではまず、子供がスマホを使うにあたっての基本方針、スマホを使っていい時間・場所、使用を許可または不許可するアプリやサービスなどについて決めます。また、個人情報、本人や住所が特定できる情報や写真をネットに載せない、面識のない人とのメッセージなどのやりとりをしない、友人の悪口などを書かない、などの注意事項も確認しておきましょう。

加えて、これらを決めるときには保護者が複数いる場合は方針をしっかりと統一し、また子供の同意もきちんと得ることが重要です。保護者として子供のスマホの使用をある程度管理し、位置情報や利用状況のチェックをすることについても子供の同意を得ておきましょう。親子間であってもプライバシーに配慮する必要があります。そのことが子供との信頼関係を築くことにつながります。

また、普段からインターネットを利用することで遭遇する可能性のある犯罪やトラブル、ネットを適切に利用するために必要な知識や能力を意味するネットリテラシー、それらに関するニュースなどについても話題に出し、継続的な情報提供や教育を行うようにしてください。

中学生のスマホの選び方

中学生のスマホを選ぶときは、自分が使っているのと同じキャリアでスマホを購入して契約する保護者が多い傾向にあります。しかし、保護者が3大キャリアで契約している場合、親子ともに3大キャリアにすると通信料金が高くなることもあり、費用を抑えたいなら子供のスマホは格安SIM・格安スマホを選ぶのがおすすめです。

格安SIMにはキャリアメールが使えなくなるなどのデメリットもありますが、中学生であればとくにキャリアメールにこだわる必要もなく、Gmailなどを使えばメールでのやりとりができます。もちろん、保護者も可能であれば格安SIMに切り替えると、さらに費用を抑えられます。

もう一つ、保護者がAndroid端末を使っているなら、子供もAndroidにした方が使い方などを教えられるので便利です。「ファミリーリンク」を使った管理もしやすくなります。保護者がiPhoneを使っている場合も同様に、子供もiPhoneにすれば「ファミリー共有」などの機能を使ってさまざまな恩恵を受けられます。

トーンモバイル端末の場合、OSはAndroidです。「TONEファミリー」というフィルタリング機能や見守り機能が盛り込まれたサービスは、Androidの「ファミリーリンク」との併用を推奨していませんが、ファミリーリンクを設定しなくても、充実の見守り機能が簡単に使えるのが特徴です。

もしくは、iPhoneの場合は、同じトーンモバイルから格安SIMを挿すだけで利用料金が抑えられ、TONEファミリーが使えるようになる「TONE SIM (for iPhone)」が提供されています。

子供を信頼することも大切

最後に、ルール作りのところでも触れましたが、スマホを持たせるときは頭ごなしに何もかも制限や禁止する方向で考えるのではなく、「子供を信頼する」ことも大切です。保護者が子供のスマホを管理するのは、スマホの正しい使い方を覚えるまでのサポートをするためでもあります。

スマホは普及し始めてまだ10年数年しか経っていません。これからもさまざまな新しい機能が生まれ、取り巻く環境も変わっていくでしょう。それだけに保護者も子供と一緒にスマホの使い方を考えるという姿勢を持つべきではないでしょうか。そうすることで子供が本当に自分を守り、賢くスマホを使いこなしていく術を身につけていくはずです。

中学生でスマホデビューするという子供が増えている現在、最初にどのようにスマホと付き合うのかを丁寧に教えるのは保護者の役目でもあります。あなたの家族が安全にスマホを活用できるようこの記事を参考にしてください。