中学生の安全なスマホ利用のために必要な制限とは

中学生の安全なスマホ利用のために必要な制限とは

中学生になった子供にスマホ(スマートフォン)を持たせるときには、保護者が責任を持って安全なスマホ利用のための制限を設ける必要があります。制限はなぜ必要なのか、どのような制限を設定すべきなのかなど、中学生向けの「スマホの制限」について解説していきます。

中学生のスマホ利用における制限の必要性

内閣府や東京都の調査では、中学生の7~8割が自分のスマホを所有しているという結果がでています。しかし、中学生に何の制限もなく自由にスマホを使わせているという保護者は少数派だといえるでしょう。スマホは便利であると同時に、未成年者が使うにはさまざまなリスクを伴う道具でもあります。

中学生がスマホを利用することについては、国や学校も容認する方向へと方針を変えてきています。文部科学省は2020年7月14日、中学生が学校にスマホを含む携帯電話を持ち込むことを「条件付きで許可する」方針を決めました。これは携帯電話の普及率の高さや、中学生の保護者が登下校時の連絡手段として使いたいという要望があることを踏まえた決定です。以前は、中学校では携帯電話の持ち込みについて原則禁止とされていました。

文部科学省の「学校における携帯電話の取扱い等に関する有識者会議」審議のまとめ(案)では、中学校への携帯電話の持ち込みを認める「条件」について以下の3つを挙げて説明しています。

  1. 学校での携帯電話の管理方法や、紛失などのトラブル発生時の責任の所在を明確にすること
  2. フィルタリングが保護者の責任のもとで適切に設定されていること
  3. 携帯電話の危険性や正しい使い方について学校や家庭で適切に指導していること

フィルタリングとは、有害・不適切なウェブサイトやアプリを利用できないようブロックすることを指します。

さらに2018年2月1日には、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が改正されています。この法律により、現在は18歳未満の青少年がスマホや携帯電話の契約・機種変更をする際には、携帯電話事業者(キャリア)や販売代理店が店頭などでフィルタリングの設定をする義務が課される ようになっています。保護者も、子供にスマホを買い与えるときは、使用者が青少年である旨をキャリアに申し出る必要があるとされています。

中学生はスマホを主に何に使用しているのか

内閣府の調査などを見ると、中学生の多くが動画、コミュニケーション、ゲーム、音楽を楽しむためにスマホを利用しています。

中でもLINEなどのコミュニケーションアプリ、TwitterなどのSNSはよく使われていて、スマホは中学生のコミュニケーションにおいて重要なツールとなっています。このことは、スマホを使うようになると子供たちのコミュニケーションの範囲が一気に、飛躍的に広がることを意味します。

中学生のスマホ利用に伴うリスク

中学生にスマホを持たせれば、スマホを登下校時だけではなく塾帰りなどを含む日常的な連絡手段として、または緊急時の連絡ツールとして利用できるようになります。

一方、リスクとなるのがスマホを使ったコミュニケーションに関わるトラブルです。文字をメインに行われるチャットやSNSでのコミュニケーションはときに誤解を招き、いさかいや嫌がらせが起き、いじめに発展することがあります。自分の子供が被害者になることも心配ですが、加害者になる可能性も考えておくべきです。

SNSなどで不特定多数と知り合って被害を受ける、事件に巻き込まれる危険性もよく指摘されます。警察庁によると、見知らぬ人に騙されたり脅されたりして裸の写真を撮影・送信させられる「自画撮り被害」の件数は近年増加しており、中学生が最も多いと報告されています。中には注目されたくて自らSNSに性的な写真をアップしてしまったというような事例も見られます。また、通常の写真であっても、自宅周辺の様子がわかるものをSNSで公開したために、住所が特定されてしまうこともあります。

これら以外にも、スマホ、SNS、ゲームなどに時間を使いすぎて依存状態に陥ってしまう問題も無視できません。大人ですらスマホが手放せなくなったり、振り回されたりすることがある時代です。精神的に未発達な10代であればなおさら歯止めがかからなくなってしまうこともあります。勉強に集中できない、睡眠時間を削ってしまうなど、生活に支障をきたすケースもあるようです。

そのため、中学生が利用するスマホは、適切な利用制限を設定することでそのリスクを抑える必要があるといえます。

中学生のスマホに制限をかける際の注意点

スマホ利用に伴うリスクを回避・軽減するには、中学生に持たせるスマホにフィルタリングなどの制限をかけるのが効果的です。

ただ、その際は事前に本人と十分に話し合い、制限の内容に対して確認と了承を得る必要があります。なぜなら、保護者が一方的にルールを決めて有無をいわさず従わせようとすると、子供は反発心を抱いてしまうことが多いからです。

重要なのは、本人がみずから適切にスマホを使おうという意識を持つことです。そのためには子供の自我を尊重し、信頼する気持ちが必要です。制限の内容も年齢相応のものにとどめ、子供からの要望があったときには必要に応じて見直すなどの対応を心がけましょう。子供とスマホの使い方について約束をし、お互いに守ることで、スマホとの付き合い方を学ばせていくのがポイントです。

中学生のスマホに設定しておきたい制限

では、具体的に中学生が使うスマホにはどんな制限をかければいいのかを説明します。

利用時間の制限

スマホ本体の利用時間、あるいはアプリごとの利用時間を制限します。1日3時間までなどと制限時間を設ける方法や、夜9時以降朝7時までは使用不可など使用できない時間帯を指定する方法などがあります。

有害サイトの閲覧制限

有害な情報を含むサイトを判別してアクセス・閲覧をブロックします。一般的に、不法サイト、アダルトサイト、過激な主張を訴求するサイト、セキュリティに問題のあるサイト、出会い系サイト、ギャンブルサイト、グロテスク系サイトなどがブロック対象になります。

スマホ利用状況の確認

子供のスマホ、インターネット、アプリの利用状況を、保護者が持つスマホで把握します。過去の利用状況の履歴を確認できるので、それをもとに状況に応じた指導をすることができます。ただし、子供にもプライバシーがあるので、事前のルール決めのときに何をなぜチェックをするのかを子供に話しておくべきでしょう。

居場所の通知

スマホを所持している子供が今どこにいるのか、GPS機能を使ってリアルタイムで居場所を確認できます。過去の位置情報をさかのぼって確認することや、一定期間内の移動履歴を閲覧することも可能です。

課金の制限

ゲームなどのアプリ内課金を制限する、または無効にします。課金を含め、スマホで何かを購入するときは必ず認証を必要とするように設定することもできます。

アプリの利用制限

特定のアプリのみをインストール、または利用可能にします。年齢制限のあるアプリのインストールを禁止するよう設定することもできます。

中学生のスマホに制限をかける方法

スマホに制限をかけるにはいくつかの方法があります。ここでは、それぞれについて説明していきます。

iPhone(iOS)の場合

iOSの「ファミリー共有」というサービスを利用すると、保護者が子供のApple IDを管理できます。有料コンテンツの利用を承認制にする、居場所を確認できるようにすることなどができます。また、「スクリーンタイム」機能を共有することで、子供のスマホの利用状況、開いたアプリ、閲覧したサイトなどの確認、通信・通話やアプリ使用時間の制限、休止時間の設定、特定アプリのみの使用許可、不適切なコンテンツの利用を阻止などもできます。

Android端末の場合

Androidでは「ファミリーリンク」というサービスを使って子供用のGoogleアカウントを管理できます。特定のアプリやコンテンツの利用の制限、子供の端末にダウンロードするアプリのリクエスト承認やブロック、端末の位置情報の確認、利用時間を管理などが可能です。Google Chromeでの検索時に不適切な画像・動画・サイトが表示されないようにすることもできます。

アプリを利用する方法

フィルタリングやスマホの利用状況の確認・管理ができるサードパーティ製のアプリも登場しています。無料アプリもありますが、使いやすく多機能なアプリの多くは有料です。基本機能としては、サイトとアプリのフィルタリング、端末の利用時間設定、居場所確認などが挙げられます

キャリアやMVNOが提供するフィルタリングサービスの場合

キャリアのフィルタリングサービスも利用可能です。3大キャリアのほか、格安SIM・格安スマホを発売している会社もフィルタリングサービスを提供しています。

「トーンモバイル」の端末では、「TONEファミリー」というオプションサービスが無料で利用できます(保護者がトーンモバイルをお使いでない場合は月額200円)。TONEファミリーは、サイトのフィルタリング、アプリの利用制限、アプリごとの利用時間帯設定・起動制限、利用状況レポート、居場所検索などの機能が一通り備わっています。また、子供が指定した区域に入ると保護者のスマホに通知する機能 なども利用できます。

事前のルール決めも重要

事前に決めておいたルールの内容は、利用してよいサイト・アプリ・サービスと、スマホを使ってよい時間帯・場所が基本です。さらに、新しいアプリを使いたいときは保護者に相談する、SNSやLINEに悪口を書かない、個人情報を発信しない、面識のない人と連絡先を交換しない、自画撮り写真を送らない……なども考えられます。ほかにも毎日〇時になったら保護者にスマホを預ける、自分の部屋に持ち込まない、SNSは全面禁止、といったルールにしている家庭もあるようです。

何をどうルール化するかは必ず親子で話し合って決めてください。そのルールを破ったらどうするかということも考え、約束しておきましょう。

ルールを守る上では、トーンモバイルの「あんしんAI」のような機能も役立ちます。これはAIが子供のスマホの利用状況、行動範囲、不適切な写真の撮影などを知らせてくれ、おすすめの最適設定も提案してくれる機能です。決めたルールを必ず守る・守らせるために、こうした新しいサービスも活用するのも方法のひとつだといえるでしょう。

中学生がスマホを安全に利用できるようにするためには、適切な制限をかけるなど、保護者がしっかりとした対策をとらなければいけません。初めてスマホを与える際には、子供が自身の成長に合わせて正しくスマホを使いこなしていけるよう、子供と一緒に正しい使い方について考え、ルールを決めて実践していきましょう。