小学生にスマホ(スマートフォン)を持たせる……と聞くと「まだ早いのでは?」と考える保護者の方もいるようです。けれど、今では小学生の4割以上が自分のスマホを持っていることが調査で明らかになっています。子供がスマホを持つと、アプリやインターネットが利用できるようになるだけではありません。保護者との連絡や子供の居場所確認などにもスマホは役立ちます。小学生のスマホ利用状況や、小学生にスマホを持たせるメリット・デメリット、子供が保護者の知らないところで課金をしないため、子供の安全を守るための設定などについて解説します。
ネットを利用している小学生の40%が自分のスマホを利用
内閣府の「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、インターネットを利用している小学生のうち、子供専用のスマートフォンを使用している小学生は小学生全体の40.1%です。ネットを利用している小学生に限った数字ですが、それでも4割というのは意外と高い割合なのではないでしょうか。
小学生にスマホを持たせるメリット
小学生のスマホ所有率が高くなってきている理由の一つに、「小学生にスマホを持たせるメリット」が広まってきたことが挙げられます。
まず、スマホにはGPS機能があるため、これを使って保護者が子供の居場所を把握できるようになります。子供が塾や習い事に通い始めてからはとくに重宝するでしょう。最近はアプリなどを使って帰宅の際や、特定の場所に入った・出たときに保護者に通知が届く設定も可能になっています。
電話・通話やメール、LINEなどのコミュニケーションアプリでいつでも連絡が取り合えるのもメリットです。特に共働きの場合は、何かあったときに子供と連絡が取れる手段が確保されていることは大きな安心感につながります。固定電話を引かない家庭も増えており、その場合は家族それぞれがスマホ・携帯電話を持つことが重要だといえるかもしれません。
緊急時に連絡が取れるようにスマホを持たせているという保護者も多いようです。地震などの災害が起きたときにお互いに連絡を取る手段として役立つほか、災害・避難情報や津波警報が子供のスマホに届くことも見逃せません。また、犯罪などを含め、子供が何らかの危険な目に遭ったときには、スマホが緊急連絡のための貴重な手段になります。
ほかにも、学習や調べものに活用できることや、友人とのコミュニケーションに役立つのもメリットだといえるでしょう。最近は小学生向けの学習アプリも増えています。また学校関連の情報が友達とのLINE経由で回ってくることもあります。
小学生にスマホを持たせるデメリット
一方、小学生にスマホを持たせるデメリットも気になるところです。
考えられるのはスマホに依存してしまうこと、SNSなどを通じて何らかのトラブルや犯罪に巻き込まれること、ゲームなどで課金をしてしまって高額請求されるリスクがあること、などがあげられます。
これらはすべて、子供にスマホを与えるだけで放任してしまうことで生じるおそれのあるデメリットです。とくに小学生の場合は、保護者の適切な指導や管理が必要不可欠です。逆に、この時期からスマホやインターネットとの付き合い方をしっかりと学び、覚えておけば、中学、高校へと進んでもデメリットや危険性を回避できる可能性が高くなるでしょう。
小学生は主にスマホを何に利用しているの?
前出の「令和元年度 青少年のインターネット利用環境実態調査調査結果」によれば、小学生がスマホを使ってインターネットで多く利用している上位2つは、「ゲーム(70.9%)」と「動画視聴(60.8%)」となっています。それ以外には「コミュニケーション(43.6%)」「音楽視聴(37.9%)」「情報検索(35.2%)」「勉強・学習・知育アプリやサービス(16.7%)」(複数回答)にも利用されています。
結果を見ると、やはりゲームや動画は人気が高いようです。これらを禁止するかどうかはそれぞれの保護者の考え方によって変わりますが、たとえ禁止にはしないという場合でも、ある程度の制限を設けることは考える必要がありそうです。
ゲームについては、まずはそのゲームの対象年齢を確認すべきです。その上で、年齢的に問題ないと思われるゲームであっても、時間制限を設けているという保護者が多いでしょう。ゲームによっては依存性・中毒性の高いものもあるため、十分な注意をしておくと安心です。
動画はかつてのテレビのようなもので、見ていると学校の友達と話題を共有できるといった側面があります。しかし意外と知られていませんが、YouTubeの規約には、サービスの利用は13歳以上である必要があると明記されています(ただし、親または保護者によって有効にされていれば、あらゆる年齢の子供がYouTube Kidsを利用できる)。子供が過激な表現の動画にショックを受けてしまうこともありますので、子供がどのような動画を見ているか、確認しておくと安心です。
ゲームのやりすぎなどのスマホの使いすぎを防ぐには?
ゲームのやりすぎなどを防ぐには、まず子供と一緒にルールを決めることが重要です。その上で、「見守り機能(ペアレンタルコントロール)」や「フィルタリング機能」を持つソフトウェアやサービスを活用して利用時間や利用範囲を制限し、子供のスマホやアプリの利用状況を随時確認するようにしましょう。
見守り・フィルタリングソフトには、保護者がカスタマイズしてそのスマホで使用できる機能やアプリを制限する機能、利用時間を制限する機能、アプリごとの利用状況やウェブサイトの履歴を確認できる機能などがあります。
家庭での小学生のスマホ利用ルールの決め方
スマホの利用ルールを決める上でまず必要なのは、方針に一貫性を持たせることです。最初に軸となる部分を決めておき、保護者が複数いる場合は全員でしっかりとすり合わせておかないと、何か問題が起きたときに対応にズレが生じて子供が混乱してしまいます。また、保護者のどちらかがルール厳守を徹底しているのに、もう一方が甘いと抜け道ができて、ルールが形骸化してしまうことにもなりかねません。
次に、子供との話し合いも大事です。なぜルールが必要なのかを、子供が納得できるように説明しましょう。子供からの要望にもよく耳を傾けて話し合い、一緒にルールを決めていくことで、子供も決めたことを守るようになります。
ルールの具体的な内容としては、スマホを使っていい時間と場所、使用を許可または不許可する具体的なアプリやサービスをまず決めます。また禁止事項として、食事中に使わない、歩きスマホをしない、個人情報や友達の悪口を書かない、本人や住所が特定できる写真をアップしない、面識のない人とのメッセージのやりとりをしない、などが挙げられます。さらに、保護者がスマホの利用状況をチェックすることについても伝えて同意を得ておきましょう。
ルールが決まったら、文章・音声・画像などの記録に残して、後から確認できるようにしておきます。ルール違反に対してはペナルティを決めておいてもいいでしょう。例外はできるだけ作らず、決めたとおりに実行するようにします。子供がどうしても例外を認めて欲しいときは保護者に申し出て相談することも決めておきましょう。
これらのルールに実効性を持たせるには端末の各種設定の見直しも必要です。設定の詳細は次項以降で説明します。
小学生のスマホ利用による予想外の請求に慌てないためのアカウント設定
最初にすべきなのは子供用スマートフォンのアカウントの設定です。Androidの場合とiOS(iPhone)の場合で説明します。
Androidの場合
Googleアカウントでは「ファミリーリンク」というサービスが用意されています。ファミリーリンクは保護者が子供用(13歳以下)のGoogleアカウントを管理するためのものです。
ファミリーリンクを利用するには、前提として保護者のGoogleアカウントが必要です。保護者もAndroid端末を使っていればGoogleアカウントを持っているはずです。
次に子供用の新品のスマートフォン、もしくは初期化した中古端末を用意します。スマートフォンの電源を入れて画面に表示される指示に沿って設定していくとGoogleアカウントを使用してログインするよう求められるので、「新しいアカウントを作成」を選びます。既存のアカウントしか選べないときは「その他の設定」をタップしてください。「自分用」と「子供用」が表示されたら「子供用」を選んで子供のアカウントを作ります。
あとは指示に従って子供の生年月日や性別の入力、パスワードの設定などを行っていきます。すると保護者のメールアドレス(Gmailアドレス)または電話番号を入力して保護者のアカウントにログインする画面に進むので入力しましょう。
その後、クレジットカードによる確認が必要になります。これはファミリーリンクの利用が有料というわけではなく、保護者が管理していることを確認するためにクレジットカードの承認システムが利用されているためです。承認されると子供のGoogleアカウントが作られます。
なお、ファミリーリンクで子供のスマホの管理をするには親子双方のスマホにファミリーリンクアプリをインストールしなければなりません。あとは保護者のスマホで、アプリなどの使用や利用時間の制限設定、位置情報確認などができるようになります。
iOS(iPhoneやiPad)の場合
iOSには「ファミリー共有」というサービスが用意されています。こちらも保護者が子供用(13歳以下)のApple IDを管理できる機能です。ファミリー共有を利用すると、子供のスマホの管理や利用制限を保護者が購入した有料アプリや音楽なども子供と共有できるようになります。
ファミリー共有を利用するには、保護者のiPhoneで子供のApple IDを作成します。「設定」で自分の名前(Apple ID)をタップして表示し、「ファミリー共有」を選んで「ファミリーを設定」に進むと、「登録を依頼」の下に「お子様用アカウントを作成」があるのでそれをタップします。するとやや時間がかかりますが、「ファミリー共有へようこそ」というメールが届き、先に進めるようになります。
次に保護者の同意を確認するために自分のApple ID用に登録しているクレジットカードのセキュリティコードを入力する画面が表示されるので入力し、「家族のプライバシー開示」が表示されたら同意します。続いて子供の姓名、生年月日を入力、子供のApple IDとなるメールアドレスを登録(新しいiCloudのメールを作成可能)して、パスワードを設定します。
あとは画面の指示に従って進むと、「承認と購入のリクエスト」と「位置情報の共有」を有効にすることができます。その後、子供のiPhoneで先ほど作ったApple IDでサインインすると設定が完了します。
ほかに「スクリーンタイム」機能を使うと子供のスマホの利用状況、開いたアプリ、閲覧したサイトなどを確認できるようになります。さらに通信・通話やアプリ使用時間の制限、休止時間の設定、不適切なコンテンツの利用阻止、購入やダウンロードの禁止なども可能です。子供のApple IDをファミリー共有していれば、子供のスクリーンタイム機能を共有して管理できます。
なお、GoogleアカウントやApple IDでファミリーリンクやファミリー共有を利用するとき、クレジットカードの情報を入力するのが不安だという人もいるかもしれません。パスワードなどの設定をしっかり行えば子供が課金することはできませんが、心配であれば登録するカードをデビットカードにする方法もあります。デビットカードであれば、万が一子供にパスワードを知られてしまっても、口座にある金額以上の決済ができませんので安心です。
その他の課金防止策や利用制限機能
上記のOSの機能を利用するほかには、通信会社が提供する子供の見守り機能・フィルタリング機能を備えたサービスを活用することもできます。子供の課金を防ぐには、これらのサービスを使って課金要素のあるゲームアプリなどのインストールを制限し、オンラインゲームなどのサイトへのアクセスを禁止することも有効です。
また、子供のスマホの通信料がかさむのを抑えたいのであれば、3大キャリアではなく、格安SIM・格安スマホがおすすめです。格安SIMを販売している通信会社でも見守りやフィルタリング用のサービスを提供しています。
たとえば、「トーンモバイル」では、データ容量無制限の定額で利用できる格安スマートフォンを販売しています。さらに「TONEファミリー」というオプションサービスを利用すると、端末の画面表示を子供向けに変更でき、課金防止策や利用制限など、子供を守るためのさまざまな機能が簡単な設定で使えるようになります。
iPhone用には、トーンモバイルの格安SIMを挿すだけで利用料金が抑えられ、TONEファミリーが使えるようになる「TONE SIM (for iPhone)」が用意されています。
小学生が安全にスマホを利用するための利用制限
最後に、小学生が利用するスマホに設定したい利用制限機能の一部をご紹介します。
利用時間制限
子供のスマホ自体の使用時間を制限できます。端末をロックしたい時間帯と曜日を選んで設定すると、その間だけ保護者が設定したパスコードを入力しないと使用できなくなります。
アプリの利用制限
インストールされているアプリごとの利用制限が可能です。子供のスマホにインストールされているアプリ一覧から対象のアプリを選び、時間帯制限か1日の合計利用時間のどちらかを入力します。すると、子供の端末で利用時間外のアプリを立ち上げると、画面に「現在利用できない時間です」というメッセージが表示されてアプリを使用できなくなります。
また、時間制限とは別に、保護者が許可したアプリのみ使えるように設定することもできます。
有害サイトの閲覧制限(フィルタリング)
有害なウェブサイトの閲覧を制限するWebフィルタリング機能を設定すると、閲覧ができなくなります。
トーンモバイルの「あんしんインターネット」というオプションでは、小学生・中学生・高校生のモードを選択するだけでアクセスできるサイトを自動的に設定してくれます。小学生向け設定では、違法・不法なサイト、アダルト・暴力関連のサイト、セキュリティに問題のあるサイト、出会い・ギャンブル・飲酒・喫煙に関するサイトなどはもちろん、SNS・掲示板、ゲーム・占い・電子書籍・動画配信・芸能情報、ショッピング・オークション、Webメールなどのサイトなどに制限がかかります。
また、保護者の判断によって個別のサイトにアクセス許可をすることも可能です。
歩きスマホ制限
子供が歩きスマホをしていると画面に警告が表示されるよう設定することも可能です。歩きスマホを検知すると、保護者のスマホにプッシュ通知される機能も利用できます。
自画撮り制限
トーンモバイルのスマホは、子供がスマホで自画撮りをする際、AIが裸やそれに近い服装の画像・動画だと判断すると、保存させない「TONEカメラ」を備えています。
これはSNSなどを通じて知り合った相手からだまされる、おどされるなどして、子供が自分の裸体などを撮影して送信してしまう「自画撮り被害」を防ぐ機能です。
小学生にスマホ(スマートフォン)を持たせるのは、今や決して早すぎるということはなくなっています。居場所を把握でき、通常時や緊急時の連絡手段として役立つなど子供にスマホを持たせるメリットを活かしつつ、一方でスマホを使わせるリスク対策もしっかりと行っていきましょう。
トーンモバイルの端末には、小学生の子供が使用できる機能を制限し、利用状況を確認できるなどの安心・安全な見守り機能が各種備わっています。トーンモバイルの小学生向けのスマホについて詳しく知りたい方は、こちらの「キッズスマホとしておすすめな理由」をご覧ください。