中学校はスマホ持ち込みOK? 持ち込める条件や家庭で決めたいルール

中学校はスマホ持ち込みOK? 持ち込める条件や家庭で決めたいルール

文部科学省はこれまで、中学校へのスマホの持ち込みを「原則禁止」としてきました。しかし、社会情勢の変化や保護者の声などを受けて見直しをかける有識者会議を開催、条件つきで認めるという案をまとめ、ガイドラインを作成しています。中学校へのスマホの持ち込みは、どのような条件なら認められるのでしょうか。また家庭ではどのようなことに注意をすればよいのでしょうか。この記事で解説します。

中学校のスマホ持ち込みは条件つきで容認に

文部科学省は、2009年に「中学校へのスマホの持ち込みは原則禁止とする」という通知を出していました。しかし、昨今の社会情勢の変化や保護者からの要望などを受け、2019年にその見解を見直す有識者会議を開催、2020年7月に「条件つきで容認する」という方針を示しています。

方針変更の背景としては、スマホ普及率の上昇や子供の安全のために保護者からの要望が多かったことなどがあげられます。中学に入ると部活動を始める子供が多く、力を入れている学校では、帰宅時間は18時を過ぎるということも珍しくありません。そういったときの連絡ツールとして「子供にスマホを持たせておきたい」というのは、保護者にとっては必然の要望かもしれません。また、部活後に塾通いしている子供もおり、保護者が車で送迎する際などに居場所を知らせる連絡手段として持たせたいというご家庭もあるようです。

中学校にスマホを持ち込める条件とは?

ただし、何も対策をとらずにスマホの持ち込みを認めてしまうと、紛失、盗難、盗撮などのほか、SNSでの誹謗中傷など、トラブルにつながる可能性があることも確かです。そこで、いくつかの条件を提示し、それをクリアした場合に中学校へのスマホの持ち込みが認められることとなりました。

大前提となるのは、子供がスマホを持参することを保護者が望むこと、さらに、学校側がそれを認めることです。子供独自の判断で、中学校にスマホを持ち込むことはできません。

上記を満たした上で文部科学省が条件として提示しているのは、次の3点です。

一つ目は、保護者がフィルタリング設定をすること。アダルトサイトなど子供にとって不適切なサイトや、子供が使用することは好ましくないアプリなどをブロックして、閲覧や利用を保護者の責任において制限をかけます。

二つ目は、紛失や破損等のトラブルが発生したときの責任の所在を明確化することです。校内での保管は生徒個人にまかせるのか学校が一括管理するのかといったルールを学校と保護者・生徒が共有し、同意することが必要となります。

三つ目は、学校や家庭において、スマホの正しい使い方、スマホの持つ危険性についてきちんと指導することです。スマホは上手に使いこなせばとても便利な機器ですが、一方でネット依存、高額課金、SNSでのいじめ、盗撮などのトラブルがひそんでいることも事実です。学校でも家庭でも積極的にそういった話題を子供と共有し、安全な使い方を教える義務があるといえます。

中学校へのスマホ持ち込みに備えて家庭で決めたいルール

中学校へのスマホの持ち込みを容認するにあたって文部科学省は子供と話し合ってルールを定めることも求めています。中学校にスマホを持ち込みさせる前に、家庭でスマホの使い方について話し合い、利用する際のルールを決めておきましょう。

例えば登下校時のルールの例としては、

  • 緊急時など必要なとき以外は、かばんの中に入れておく。
  • 学校では電源を切り、学校のルールに従って管理する。

といったことがあげられます。

家庭内でのルールとしては、

  • 1日の利用時間は60分までで、夜9時以降は電源を切る。
  • 友だちとのやり取りでは、写真や個人情報、悪口を送らない。
  • 登録したいSNSがあるときは保護者に相談し、利用のしかたを話し合う。
  • ゲームの課金やネット通販での買い物は、必ず保護者の許可をもらう。
  • 食事中は親子ともにスマホを別のところに置いておく。
  • スマホは自分の部屋に持ち込まず、リビングで使う。

などが考えられます。

スマホを持たせる理由を明確にしたうえで、必ずご家庭の実情にそったルールを決めておきましょう。

中学生の多くはすでにスマホを利用している

東京都「家庭における青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等に関する調査」(令和2年1月の調査)によると、約75%の中学生がスマホを所有しているという結果が出ており、多くの中学生がスマホを利用しているという実態が明らかになっています。
スマホを持たせていれば、保護者が子供のいる場所を確認できますし、いざというときの連絡も可能です。また新型コロナウイルスの影響で学校が休校になり、スマホで動画を見ながら勉強するというニーズもあるようです。

これまではスマートフォンの持ち込みを原則禁止としてきた中学校ですが、条件つきで認めるという方向にシフトしています。実際、多くの中学生がスマホを利用していますし、ルールを守って使うのであれば、メリットが多いことも確かです。お子さまにスマホを持たせるかお悩みになっている方は、こういった状況を踏まえ、今一度検討してみてはいかがでしょうか。