【第1回】子どもがルールを守るのは当たり前ではない?新年度こそ知っておきたいスマホのルールづくりの基本

ネット依存、スマホ使いすぎ

schedule 2024年04月19日

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新年度が開始し、お子様の学年があがり「使えるアプリを増やしてあげようかな」「塾も通いはじめたし、ちょっと利用制限を見直そうかな?」と考えてはいませんか?

新学期のいま、スマホの制限を見直すときだからこそ「スマホのルールづくり」が大切です。

そこで、全6回でスマホ使いすぎの専門心理師森山沙耶先生に「スマホ使いすぎ」をテーマにお話しいただきます。

第1回の今回はスマホのルールづくりにおいて大切なことについてお伺いしました。

この記事でわかること

  1. スマホのルールづくりにおいて守りづらいルールとは?
  2. スマホのルールを決めるうえで守りやすくするルールづくりのコツ
森山先生

ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)所長

ネット依存専門心理師

森山 沙耶

臨床心理士・公認心理師。ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)所長。特定非営利活動法人ASK認定 依存予防教育アドバイザー。 ネット・ゲーム依存を専門に当事者やその家族に向けて認知行動療法に基づく心理カウンセリングを行うとともに全国の学校、自治体、企業等を対象に予防啓発のための講演・研修の講師としても活動。

今、子どもたちのインターネットの利用時間はますます長時間化しています。子ども家庭庁による2023年度の調査によれば、子どもの1日当たりのインターネット利用時間(平日)は高校生が6時間超、中学生が4時間半超、小学生が3時間半超だという結果が明らかになりました。また、10歳以上の小学生の7割が自分専用のスマホを持っており、低年齢化も進んでいることがうかがえます。
スマホの利用には家族や友人とのコミュニケーションや防犯、学習のサポートなどメリットも多くありますが、特に注意したいのはスマホの使いすぎです。動画やスマホゲーム、SNSにはついつい見たくなる、開きたくなる仕掛けがあり、子どもは夢中になってしまいます。
過剰な利用が続くと、次第にスマホやネット以外に興味関心がなくなったり、勉強などのやらなければいけないことに手がつかなくなる、いわゆる依存の状態に至る危険性が高まります。したがってスマホ依存予防のためにも、家庭内でスマホのルールを決めていくことが重要になります。
しかしながら、「ルールを作っても子どもが守らない」「親に隠れてコッソリ使っている」といった保護者の声もよく耳にします。それでは効果的なスマホのルールをつくるコツはどのようなものがあるでしょうか。心理学の視点から解説したいと思います。

スマホのルールづくりにおいて守りづらいルールとは?

みなさんは、このようなルールをつくったときどのくらい守ることができるでしょうか。
「1年後の資格試験のために、毎日2時間勉強をする」
「半年後に痩せるために、毎日ご飯は腹八分目でやめる」

悩む親の画像

必ず取りたい資格があるとか、好きな人と海に行くためなど、その目標を「何としてでも達成したい!」という強いモチベーションがあれば、ルールを守れるかもしれません。しかし、それでも最初の一週間は出来ても、その後は「まぁいいか」となし崩しになっていくことも多々あるでしょう。

勉強を2時間したところですぐに合格という結果が手に入るわけではないですし、ご飯を八分で止めてもすぐに痩せるわけでもありません。このように、1回1回の行動した結果が小さく、コツコツ行動した先に自分が得たい結果が得られるようなルールは大人でもなかなか続けにくいものです。

スマホのルールについても同じようなことが言えます。
「スマホ依存にならないために、毎日スマホの使用は2時間までで終わりにする」

暗い部屋でスマホを見る子供の画像

このようなルールの場合、スマホ依存を未然に防げるという結果は1回の行動で得ることはできません。それに、子ども自身が依存などの悪影響についてよく理解できていなければ、ルールを守ることの必要性を感じられません。

むしろ、子どもにとって魅力的なスマホをもっと使いたいのに、なぜ制限しなければならないのかと不満を持つこともあります。
このようにみると、「ルールを作ったら守って当然」というよりは「ルールを作っても守れなくて当然」なのかもしれません。

スマホのルールを決めるうえで守りやすくするルールづくりのコツとは?

その上で、子どもがルールを守れるようになるための工夫を見ていきたいと思います。
まずはルールを決める「目的」を子どもと話し合って明確にするということです。スマホ依存やネット依存に関する本を親子で読んでみてもよいですし、総務省が公開している「インターネットトラブル事例集」といったWEBサイトを見てみるのもよいでしょう。大事なことは「正しい情報」を知ることですので、信用できる情報源かどうかもチェックしてください。

親子でスマホのルール決めをする画像

次に具体的なルールを決める際には親が主導するのではなく、「子どもと一緒に」決めることです。ついつい愛情ゆえに親の「こうしてほしい」という願望や「こうすべき」という価値観が先行してしまいがちですが、親としての思いは一旦脇に置いておき、

子どもの気持ちや考えをまずはじっくりと耳を傾けてほしいと思います。その上で、親としての考えやアドバイスも伝えつつ、最終的に現実的な落とし所を子どもに選択してもらうことで「よし、これでやってみよう」というモチベーションを高めることにつながります。

最後にルールが守れたら達成感やご褒美を与えることも忘れずに。ルールどおりの行動が出来たとしても、子どもにとってメリットとなる結果が得られなければ長くは続かないものです。
例えば、21時にはスマホを親に預けるというルールがあったときに、「出来て当たり前」というような態度をとるのではなく、

「自分で時間に気づけたんだね!」というように肯定的に関わるようにします。ゲームのプレイ時間について一緒にスクリーンタイムをみながら「時間内に終えられているね」と確認するのも良いでしょう。
もちろん、口約束や子どもの意思に任せるのではなく、フィルタリングや制限機能も活用して守りやすい環境をつくることも必要です。新学期になり、子どもがスマホを持ち始める家庭も多いと思います。前向きにスマホのルールについて家庭で話し合ってみてください。

まとめ

  1. スマホのルールを決める「目的」は子供と話しあって決める。
  2. 具体的なルールを決める際は、「子供と一緒に決める」
  3. ルールを守れた場合にはご褒美も

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