【第3回】お子さまのスマホの使いすぎとの向き合い方
ネット依存、スマホ使いすぎ
schedule 2024年05月17日
全6回にわたり、新学期だからこそ、スマホ使いすぎの専門心理師森山沙耶先生に「スマホ使いすぎ」をテーマにお話しいただく企画、第3回目は、質問箱に投稿いただいた内容「お子さまとのスマホの使いすぎとの向き合い方」についてお話しいただきます。
この記事でわかること
- ネット依存かどうかはどのように判断するの?
- お子さまへの適切な伝え方とは?
- 適度な使い方とは?
- ネット依存に悩んだときの相談先は?
ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)所長
ネット依存専門心理師
森山 沙耶
臨床心理士・公認心理師。ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)所長。特定非営利活動法人ASK認定 依存症予防教育アドバイザー。 ネット・ゲーム依存を専門に当事者やその家族に向けて認知行動療法に基づく心理カウンセリングを行うとともに全国の学校、自治体、企業等を対象に予防啓発のための講演・研修の講師としても活動。
相談者:
ちびきよさん
中学2年生の男子です。中学入学後スマホとゲーミングパソコンを手に入れてからルールを決めても守れなくなり、制限をかけようとすると荒い口調になります。学校ではスマホ禁止ですが、毎日持っていき電車でゲームをしています。平日は21時まで、休日は朝から1日中スマホやゲームをしており、時々課金もしています。学校の勉強もせず、成績は下がる一方です。勉強しなければ、という気持ちもあるものの、実際は出来ていません。睡眠への影響は今のところないのですが、家族で外食をしていてもずっとスマホで漫画やゲームをしている姿を見ると悲しくなります。
食事をするときはマナーとしてゲームをしないと理由を話してもキレています。
これは依存になっているのでしょうか。また本人が分かってくれるように話すにはどうしたらよいのでしょうか。また適正な使用時間、使い方の基準を教えていただきたいです。
森山心理師
ご質問ありがとうございます。難しい年頃かと思います。親御さんとして悩みながらお子さまに関わっていらっしゃることを想像しながら拝見していました。依存かどうかや、本人への伝え方、適度な使い方について一般的な説明になりますが、回答いたします。さらに個別的な相談内容に関しては最後に相談先のリストもご紹介しますので、そちらも参考にしてみてください。
依存かどうかの判断について
まず依存かどうかについての判断は医療機関で問診や必要な検査等をした上で、医師が診断するものですので、限られた情報のみでここで依存かどうかを判断することはできないことはご理解いただきたいと思います。
世界保健機関(WHO)が作成する「ICD-11」という国際的な疾病分類によると、ゲーム依存の主な診断基準はこのようなものがあります。
- ①スマホやゲームの使用をコントロールできているかどうか
- ②スマホやゲームを他の何よりも優先する生活スタイルになっているか
- ③スマホやゲームの過剰な使用によって健康面や生活面に支障が生じているか
上記のポイントを踏まえて、依存の状態にあるかを見ていくことになります。
ちびきよさんのお子さまの状況では、ルールを決めても守れないということや禁止されていても学校にスマホを持っていってしまうということがあり、自制が効きにくい状態であるように思います。また睡眠など健康面にはあまり問題は出ていないものの、スマホやゲームのために勉強に手がつかないという場合、生活面で少なからず問題が生じているけれど、スマホはやめられず葛藤していると推測します。そうすると、依存のリスクが高い状態と言えるかもしれません。
第2回の記事でも依存のサインについて詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
お子さまへの適切な伝え方とは
それでは、本人に親御さんの心配な気持ちや実際の問題について、どのように伝えればよいでしょうか。
基本的には、本人がスマホやゲームのことで多少なりとも問題を感じているときで、かつお互いに落ち着いて話ができるタイミングをおすすめしています。
その際に、すべての問題は「子どものせい」だというメッセージにならないように気をつけてほしいと思います。「成績が下がったのはあなたがスマホをやめないからでしょ」というように使用をコントロールできないことは、本人の意思の弱さであるような伝え方だと、本人も問題を認めず、反抗してしまいます。
勉強をしなきゃいけないけど、手につかなくて困っている、先生からスマホのやり過ぎを指摘された際など、本人も困り感や問題意識を感じたときに「スマホをすぐに制限するのが難しいのであれば、専門家に相談してみよう。」といったように促してみると本人の抵抗も和らぎやすくなります。このとき、すぐにスマホやゲームをやめたり、減らしたりすることを強要するのではなく、まず困っていることを解決することから始めるように伝えることが大切です。
適度な使い方とは?
「このくらいの時間、使い方にすべき」という明確な基準がないのが実際のところですが、仮に「◯時間にすべき」と大人が伝えたとしても、すぐに子どもがそのとおりできるかというとなかなか難しいものです。たとえ医師や心理士などの専門家から根拠とともに伝えたとしても、頭で理解できても行動を変えるには時間と根気強いサポートが必要になります。
カウンセリングで、依存の状態にあるご本人と使用時間や使う時間帯をどうするか話し合う際には、まず本人がコントロールできる範囲で達成可能な目標を考えます。どのくらいの時間ならある程度満足感が得られて、楽しめるのか、これ以上やるとどのような悪影響が出るのかを一緒に話し合い、少なくとも悪影響が出ない使い方を考えていきます。
ネット依存に悩んだら?相談先について
「実際の相談窓口はどのような箇所があるの?」とお悩みになる方も多いでしょう。依存の相談先は主に3つあり、それぞれの特徴をご紹介いたします。
【医療機関】
依存が疑われる場合、まずは専門の医療機関での受診を検討しましょう。専門の医療機関がハードルが高い場合は、地域の小児科や総合病院などに相談することもできます。
ご参考サイト:https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/net_list.html
【行政の相談窓口】
依存について専門的に相談できるところは多くはありませんが、子どものネット・ゲームの使い方だけでなく、子育てや発達についても総合的に無料で相談できます。
ご参考サイト:https://www.zmhwc.jp/centerlist.html
【民間のカウンセリング機関】
ネット・ゲーム依存を専門にしているところもあり、じっくり相談できます。ただし医療機関ではないので保険適用外であり、有料になります。
ご参考サイト:https://mira-i.jp/
またトーンモバイルをご利用の方で、TONE Laboオプションもしくは、TONE Careオプションへご加入の方へは、森山心理師の「スマホ使いすぎ相談」や「スマホのルール決めサポート」を無料で月2回まで利用することもできます。
まとめ
- ネット依存には、いくつかの特徴的なサインがある
- お子さまに伝えるときには責めるのではなく、解決に向けた対話が大切
- ネット依存の相談先には医療機関や行政の窓口だけでなく、民間の専門カウンセリング機関もある
トーンモバイルでは匿名で森山心理師へ質問できる質問箱を受け付けております。
ぜひちょっとした疑問でもご質問箱へ投稿ください。
- ご質問の数が多い場合、数の多いご質問やTONE会員の方を質問に優先的に回答させていただきますので、すべてのご質問に対しての回答や、期限を定めた回答をお約束するものではありません。
- ご質問の回答は、次回以降のコラムにて回答させていただきます。
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