【第4回】ゲームをねだるお子さまとの向き合い方

ネット依存、スマホ使いすぎ

schedule 2024年05月31日

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全6回にわたり、新学期だからこそ、スマホ使いすぎの専門心理師森山沙耶先生に「スマホ使いすぎ」をテーマにお話しいただく企画、第4回目は、質問箱に投稿いただいた内容「YouTubeやゲームをねだる、やめないというお子さまの行動への対応方法」についてお話しいただきます。

この記事でわかること

  1. 子どもがゲームをせがんできたらどうするの?
  2. ゲームをやめないときの対象法とは?
森山先生

ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)所長

ネット依存専門心理師

森山 沙耶

臨床心理士・公認心理師。ネット・ゲーム依存予防回復支援MIRA-i(ミライ)所長。特定非営利活動法人ASK認定 依存症予防教育アドバイザー。 ネット・ゲーム依存を専門に当事者やその家族に向けて認知行動療法に基づく心理カウンセリングを行うとともに全国の学校、自治体、企業等を対象に予防啓発のための講演・研修の講師としても活動。

相談者:
ミカン箱

今年小学校にあがったばかりです。学校が始まったストレスからか、毎日YouTubeをみたがります。ほっておくとずっと見続けるので、1日1時間に制限していますがとにかく少しでも間があくとねだってきます。
あまりにもねだることが多すぎるので親が疲弊してしまうのですが、みせることによって調子に乗ってしまい言葉遣いも乱暴になったり、自分をコントロールできなくなるのであまり時間を伸ばすことも難しいです。何かアドバイスありますでしょうか。

相談者:
TAKA

中学生の子どもがYouTubeやゲームをやめられず、困っています。いつも同じやりとりをする中で、親としても疲れてしまう事が多々あります。どの様な対応が有効か教えて頂きたいのですが。宜しくお願いします。

森山心理師

ご質問ありがとうございます。今回は、YouTubeやゲームをせがまれたときの対応と、使い続けるときの対応についてそれぞれ回答していきます。同じような状況で悩んだり、疲れてしまったりしている親御さんも多いと思いますので、少しでも参考になれば幸いです。

YouTubeやゲームをせがませたときの対応

YouTubeは関連動画が次々と出てきて、かつサムネも注目を引くような工夫がされているので、大人でも見続けてしまいますし、特に子どもは自発的に切り上げるのは難しいものです。ですので、1日どのくらいまで見てもよいのかを家庭で決めておくのは大切なことだと思います。

ただ、決めた時間以外にも、何度も親にYouTubeやゲームをやりたいとせがまれると親も対応に疲れてしまいますよね。
実際には、1日のうちに何回程度、どのような状況で「せがむ」行動が起きるのでしょうか。まずは行動が起こる状況を確認し、整理してみましょう。

例えば、学校から帰宅して、疲れているときに「YouTube見せて〜!」と子どもが言うとします。そのときに親も「夕食作りで忙しいし、まぁいいか」と見せるということが毎回ではなくても時々あるとします。
その際に注目するのは「せがむ」行動そのものだけでなく、行動が起こる直前の状況と、行動が起こった直後の結果です。このように行動と、行動の直前と直後の状況を含めて、対象となる一つの行動をとらえていく方法を行動分析学という心理学では「行動随伴性」と呼びます。

行動随伴性 行動随伴性

YouTubeをせがむ状況では、子どもが「見せて〜!」と強くせがむと、親も家事で忙しいので構っていられないため、見せてもらえます。つまり、強くせがむという行動の結果、自分の欲しいものがもらえるというメリットがあるということになります。人は、行動の結果、自分にとって「良いこと(メリット)」があると、その行動が起きやすくなります。これを行動分析学では「強化」と呼びます。子どもにとっては、強く要求すれば、YouTubeを見せてもらえる確率が高まるわけですから、「せがむ」行動の頻度は高まりますし、要求も強くなっていくことが考えられます。

したがって、「せがむ」行動を減らしたいということであれば、メリットを与えない、つまりせがまれるままにYouTubeを見せないということが基本的な対応になります。

そうすると困ってしまうのが、見せないとさらに要求が強くなって、泣いたり、暴れたりしてしまうという状況だと思います。このように今まで得られていたメリットが得られなくなるときに、要求がエスカレートするのは一般的に見られることです。しかし、この要求が高まるのは一時的で、しばらくすると落ち着いてきます。

大事な視点として、最初のご質問者さまのように、ストレスや疲労などによって要求が高まりやすくなるということもあります。また、本当はYouTubeを見れることがメリットではなく、親の注目を得られるということがメリットになっている可能性も考えられます。
そのようなときは、単にYouTubeを見せないという対応をするだけでなく、疲れを軽減できることをする、親の注目を得られる時間をつくるといったことも併せて考えることが大切です。例えば、帰宅後は親子でゆっくりお風呂に入ることにするとか、帰宅後にYouTubeを見る時間を確保しつつ、夕食後は親子で一緒に過ごす時間を作るなど、生活のスケジュールを工夫しながら家庭に合った無理のない対応を考えてみてください。

ゲームを使い続けてしまうときの対応

ゲームを使い続けてしまうお子さまと悩む母親

YouTubeやゲームを使い始めたら止まらないという状況では、そもそも動画やゲームが子どもにとって刺激的で、魅力的であるということがあります。なので、声がけをしたくらいでは、子どもはゲームや動画をほどほどで終わりにすることが難しいと言えます。
また、親の声がけを無視して使い続けていれば、そのうち親はあきらめて声がけをしなくなります。先ほどは良いことやメリットがあることで強化されると説明しましたが、自分にとって「嫌なことがなくなる」ことでも行動は強化されるのです。

それでは、YouTubeやゲームをおしまいにするまで、親は声がけをし続けるべきでしょうか。もちろん、それも一つの方法ではあります。ただ、親もヒートアップして怒鳴ったり、子どもが反抗して喧嘩になったりすることも考えられるので、そのような場合はおすすめできません。
例えば、あらかじめ終える時間や見る動画の本数を決めておき、終える時間にタイマーがなるようにしておく。そのタイマーは少し離れた場所に置いておき、タブレットやゲーム機から離れないと止められないようにするということもできます。また、時間になって終えることができたら、スタンプやシールをあげて、連続10回達成したら、ちょっとしたプレゼントをもらえるということもできます。
「使い続ける」という困った行動に目を向けるだけでなく、どうしたら「時間になったら終える」「ほどほどで切り上げる」といった望ましい行動を強化できるのかという視点に立って考えてみると、親も子どもも対立せずにポジティブな気持ちで取り組めるかもしれません。

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まとめ

  1. せがむ行動には、ストレスからだけではなく、別の要因(子ども側のメリット)が考えられることがある
  2. ゲームをやめさせるには、使い続けることに着目しすぎるのではなく、「終えること」に着目し、しっかりできたらごほうびなどポジティブに行動できるようにすることが大切

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